【書評】『大富豪からの手紙』(本田健) 執筆:祝田 良則
お薦めの本の紹介です。
本田健さんの『大富豪からの手紙』です。
本田健(ほんだ・けん)さんは、経営コンサルタント・投資家です。
大富豪の人生のエッセンスが詰まった【9つの手紙】
佐藤泰三は、事業に成功し、一代で財を成した大富豪です。
本書の主人公である孫の敬たちを、とてもかわいがっていました。
泰三が亡くなったとき、敬に遺したもの。
それは、【9つの手紙】でした。
泰三の「億万長者」になるまでの80年に得た「人生のエッセンス」ともいうべきものでした。
もっとキミと話せればよかったのだが、残念ながら時間切れだ。
私が伝えたかったことを「手紙」に残すことにした。
私は、たくさんのお金を稼いで、「大富豪」と呼ばれるまでになったが、すべての資産を「奨学財団」に寄付してしまった。キミの父親にも、孫のキミたちにも、「財産」と呼べるようなものを、何も残さなかった。そのことを、どうか許してほしい。その代わりに残すものは、「人生でいちばん大切なものを学ぶ機会」だ。
本当は、キミが大学生になったときぐらいから、いろんなことを教えてあげようと思っていたのだが、体調がすぐれず、段取りが狂ってしまった。
でも、人生って「そういうもの」なのかもしれない。これから、恋愛、就職、転職、独立、結婚、出産、子育て、介護、自分の病気など、「人生の節目」で、キミの人生には、歓びと試練が交互にやってくるに違いない。
できれば、そういったことを経験するキミの人生を少しでも見届けたかったし、求められればアドバイスをしてやりたかったが、どうも、このままだと難しそうだ。
この「手紙」を残すことで、その代わりとしたい。キミあてに【9つの手紙】を書いたので、受け取ってほしい。
孤児の私が「億万長者」になるまでの80年に得た「人生のエッセンス」だ。
私が知りえたことはもちろん、うまくいかなかったことも、正直に書いた。
「手紙」の内容を身につけることができれば、仕事の成功、十分なお金、よい人間関係、家族との幸せな暮らしも、きっと手に入ると思う。「次の手紙を開けるときが来た!」と思ったときに、順番に開いて読んでほしい。
まさに、いちばん必要なときに「次の手紙」を開くタイミングがやってくるはずだ。
それは、キミの「直感」で決めたらいい。
最後に私が伝えたいのは、キミたちをずっと大切に思ってきたということだ。
面と向かって言うことができず、申し訳ない。不器用な老人を許しておくれ。
これから、素晴らしい人生を送ってほしい。
さぁ、さっそく、【第1の手紙】を開いて、読んでみるといい。
グッド・ラック!『大富豪からの手紙』 【最初の手紙】 より 本田健:著 ダイヤモンド社:刊
本書は、大富豪になるためのエッセンスを、祖父から孫へ遺した【9つの手紙】という形で物語形式にまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
偶然は、この世には存在しない!
【第1の手紙】のテーマは、「偶然」です。
泰三は、『偶然というものは、この世には存在しない』と書き記しています。
敬に対して、『これからの人生で、「すべてのことに意味があって、自分を幸せにするために起こっている」という可能性を見て』ほしいと強調します。
では、「一見偶然に見える、意味のある必然」を、どう見つけたらいいかも、キミに説明しておこう。
英語では、それを「シンクロニシティ(Synchroicity)」と呼ぶ。
電車に乗り遅れたせいで、昔の同級生と出会うことができて、その「偶然」をきっかけに転職する。レストランで学生時代の先輩と隣り合って、後に起業する。そういったことは、ごく日常的に起きている。特に、成功する人は、そんな何気ない偶然をつかんでいるんだよ。
普段だったら気に留めないようなことが、直感的に「ピン」ときたときは、よく観察してみたり、そちらにいってみたりするのもいい。「シンクロニシティ(一見偶然に見える、意味ある必然)」を見つけるコツはね、たとえば、カフェに入ったら、知り合いがいないか、グルッと見回すようなシンプルなことなんだ。
電車に乗ったとき、映画館やコンサートに行ったとき、横断歩道を渡るとき、「知っている顔」がいないか、ちょっとだけ時間をとって、あたりを探してみなさい。
気になった友人に電話をしてみる、普段はいかないところに行ってみる、道で友人にばったり会ったりしたら、食事やお茶に誘っててみるといいだろう。
また、歯医者や美容院の待合室なんかでは、普段、読まない雑誌を手に取る、カフェや電車で隣の人に話しかける、といったことをやってみるといい。そうやって、普段よりも、ちょっと積極的に動くだけで「運命の女神」は、茶目っ気あふれる「しかけ」をしてくるんだよ。
本当に、キミに気づかせたいときには、「運命の女神が、偶然を2回、3回と続けて起こしたりして、気づかせようとする」ことすらある。
キミに必要な情報が、ベストのタイミングでやってくる。このカラクリがわかれば、「どこにヒントが隠されているんだろう?」と考えるだけで、ワクワクするようになってくる。
言ってみれば、「偶然という宝探しゲーム」のようなものだキミは「ザ・ローリング・ストーンズ」というイギリスのロック・バンドを知っているよね。全世界でのアルバムの売上が2億枚を超えるといわれる世界的なバンドだ。
1950年代初め、後にメンバーとなった、ミック・ジャガーとキース・リチャーズは、幼馴染(おさななじみ)で同じ小学校の同級生だったが、その後、ミックの家族が引っ越しをしてしまい、離れ離れになったんだ。
その後、10代となり、ミックがロンドンの名門大学への通学途中のこと。
駅にいたときにミックが小脇に抱えていた「数枚のレコードアルバム」が、専門学校に通うキースの目に留まり、キースがミックに声をかけるきっかけとなる。
再会をはたした2人は意気投合し、その翌年に、「ザ・ローリング・ストーンズ」を結成することになる。その後の業績は、知ってのとおりだ。
どうだい? ミックとキースは、「偶然」を活かして、全世界に影響を与えるほどの功績を残したと言えないかね。「シンクロニシティー」をチャンスに変えられる人と、そうでない人の違いは、実に大きい。誰にでも起きている「偶然の魔法」を、自分の人生を飛躍させるために使えなければ、ワクワクするような人生は望めない。
ちょっと、難しい話をしてしまったかもしれないが、人生で起きる偶然を、自分の人生を切り開く「きっかけ」にしてもらいたい。『大富豪からの手紙』 第1の手紙:【偶然】より 本田健:著 ダイヤモンド社:刊
人間は、世界を「ありのままに」見たり、聴いたりしているのではありません。
自分で「選び取って」、各器官から脳にインプットしています。
つまり、信じている世界を、自ら構築しているということですね。
「一見偶然に見える、意味のある必然」を、
「ある」と信じて過ごすのか。
「ない」と思って過ごすのか。
長いスパンで考えたとき、天と地ほどの差がついてしまいます。
「決断した瞬間」に「その未来は、同時に誕生する」
【第2の手紙】のテーマは、「決断」です。
成功に必要なことは、「決めること」です。
なぜなら、『決断することなしには、何も動かない』からです。
泰三は、『信じられないかもしれないけど、「決断した瞬間」に、「その未来は、同時に誕生する」』と指摘します。
「決断をすること=自分の新しい未来を創り出すこと」だと覚えておいてほしい。
「決められないこと」は、現実にならない。
だから、キミには、たくさんのことを決断して、自分の人生を積極的に創り出してもらいたい。そして、決めることに慣れてきたら、キミには「もう1ランク上の決断」ができるようになってほしい。それが、どういうものか、説明しよう。
多くの人はね、今の状況を「平面的」に見ているんだ。平面に電車が走っているとして、どの方向に行くのかだけを、考えているんだ。
たとえば、1本だった線路が、「ある分岐点」で5本に分かれているとしよう。
その5本の道は、どれを選択しても、「今のキミの想定内の未来」だ。
同じ平面の上にある限り、どれを取っても「想像を超える未来」は見えない。つまり、「平面の上で、右へ行くか左へ行くか」という決断ではなく、「1つ上の階層から見て、その意識で決断できるかどうか」で、キミは、まったく違う世界へと、ジャンプできるんだよ。
1つ上の階層に行くとね、今までまったく見えていなかった「新しい未来」が見えてくる。新しい未来は、未知の「パラレル・ワールド」なんだ。
今まで平社員だったのが、「役職」がついた途端に見える世界は違ってくるものなんだよ。サラリーマンだったのが、独立して社長になると、全然、見える世界が違って感じられるだろう。
これが、人生を変える「次元上昇(じげんじょうしょう)」と呼ばれるものだ。成功している人は、みんな、こうした「人生のステージを変えるジャンプ」を繰り返し体験している。
ユニークな人生を生きたければ、これは必須のことなんだよ。キミは、ロジャー・バニスターというイギリスの陸上選手を知っているかね?
世界中の陸上選手が「1マイル(1609メートル)」で4分を切るのは、誰にも不可能だと考えられていた」時代、1954年に人類ではじめて1マイル4分を切り、3分59秒4という記録を打ち立てた。
でも話はここで終わらない。なんと、ロジャー・バニスターが記録を打ち立ててからの1年の間に、23人もの選手が「1マイル4分を切る記録」を打ち立てたんだ。これは、どういうことを意味すると思う?つまりね、人間には「できないと思った未来はやってこない」し、「できると決めた未来はやってくる」ってことなんだよ。
これこそね、「できると決断」すれば、その未来は同時にでき上がり、それが未来から、近づいてくるということの証明だと思うんだよ。『大富豪からの手紙』 第2の手紙:【決断】より 本田健:著 ダイヤモンド社:刊
「何を、どう決めたらいいか、わからない」
泰三は、そんな人に対して「最高の未来を手に入れる」と決めてしまえばいいとアドバイスします。
その際のポイントは、『「今の延長線上でない、まったく違う次元の未来」をイメージ』すること。
現状にとらわれず、自分の生きたいように生きる。
その決断が、人生の転換点になります。
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本田さんは、『もし、今の生活がなんとなく退屈になっていたら・・・、今が「動き出すタイミング」』かもしれない、とおっしゃっています。
「人生において、必要のないこと、無駄なことは、何もない」
それは、真実です。
これまでの人生で経験した、つらいこと、悲しいこと、苦しいこと。
それらは、必ず、今後の人生で生きてくるはずです。
「自分自身の人生を生きよう」
そう決心したとき、すべてが動き出します。
これまで「点」だった、さまざまな経験。
それらがつながり、一つの「線」になって、形を作るようになります。
このブログを読み、本書の存在に気づいたことも、何かのサインです。
「シンクロニシティ」が働いているのでしょう。
「人生が変わるきっかけ」になるかもしれない【9つの手紙】。
ぜひ、これを機会に、目を通してみてください。
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