開き直って良いとき、悪いとき 執筆:矢場田 勲
「開き直れば楽になるのがわかっているけど、なかなか思い切れません」
「まあいいか、とすぐに開き直るクセがあって、よく妻に怒られるんです」
ある人は、開き直りたいと言い、
またある人は開き直るクセを直したいと言います。
開き直りと聞いて、
「追い詰められないと行動できないんです」というカウンセリングのクライアントの言葉を思い出しました。
「追い詰められないと行動できない」ということは、追い詰められることで、ようやく開き直って行動できるということです。
そういう人に対して、私がカウンセリングの現場で使う強烈な一言があります。
それは、
「追い詰められないと行動できないってことは、人間ではなくて野生の動物に近いってことですよ」
もちろん、こういった言葉を使うには、信頼関係が築かれている状態になってからです。
動物は、日常の現状を維持しようとします。
「成長しなきゃ」とか「何かを変えよう」という考えはありません。
でも、命の危険が迫った場合のみ、現状を変えようと今までとは違う行動を起こすのです。
追い詰められたことで、今までしがみついていた習慣を手放し、ようやく今までとは違う行動を起こすのです。
だから「追い詰められないと行動できない」という人に対して、野生動物と同じだと伝えたのです。
なので、「人間に進化しましょう」と促すわけです(笑)
人間だけが、「こうなりたい!」という未来を思い描き、計画を立て、それに向かって長期的な行動ができるのです。
「いや、でも追い詰められた時こそ、自分でも信じられないくらいのパワーがでるんです」とその人は言います。
確かにその通りです。
追い詰められた時、パワーが出るのは、開き直るからです。あれこれ悩んでいたのを手放すことで、パワーを一点に集中させることができます。
追い詰められた時に登場する無敵のパワーです。
これって何かに似ていませんか?
私は仮面ライダーを思い浮かべました。
ピンチの時に現れて、困難を打ち破るヒーロー。
追い詰められた時に自分の中から沸き起こってくるパワーが仮面ライダーです。
たしかにカッコいいです。
でも、「仮面ライダーを目指してはいけない」と私は言います。
なぜなら、この平和で生活するのに特に不便を感じない世の中において、そうそう追い詰められることなどないからです。
普段はごくごくありふれた日常があるだけです。
圧倒的にありふれた日常の方が多いのです。
だから、普段の状態から行動できるようならないといけません。
そのためには、人間だけが持っている能力である想像力を使います。
普段のコツコツ作業を持続させるためには、想像力を活用しましょう。
小さな行動が小さな社会貢献につながっていて、誰かを少しでも喜んでもらっているという想像。
一方で、もし、ずっと何も行動しないで3年過ぎてしまったら、どんなに後悔するだろうかを想像します。
行動しなかった後悔を想像、行動したときの心地よさを想像。こういった想像力を行動のキッカケとして活用していきましょう。
だから、開き直ることなくコツコツと目標に向かって行動することが必要なのです。
そうすると自力がついてきます。
日常で地味に地道にコツコツやっているから、いざ追い詰めて開き直ったときにスゴイ力が発揮されるとも言えます。
でも、開き直った時のとんでもないパワーには、持続性がありません。
一瞬の爆発力はありますが、残念ながらすぐにエネルギーは切れてしまいます。
まとめです。
普段の日常生活では、開き直ることなく、目標に向かって淡々と行動していくこと。
そして、追い詰められた時は、どこかで開き直って、普段隠されていた力を発揮して乗り越えましょう。でも一時的なものなので、過剰な期待はしないことです。
開き直って良いとき、悪いときをしっかり使い分けるように意識していくことが大切です。
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