財政検証の公表結果で考える年金と老後の将来 執筆:川淵 ゆかり
財政検証(2019年)の公表結果で思うこと。
こんにちは。幸せな人生100年マネープランナーの川淵ゆかりです。
8月27日、厚生労働省から財政検証が公表されましたね。
今後予想される経済状況で、年金の給付水準を6つのケースに分けて、
見通しを立てています。
しかし、重要なのは、このいくつかのケースに将来の年金予想をあてはめて老後の資金設計をするのではなく、財政検証によって年金制度の大きな改革があるかもしれない、ということです。
財政検証は5年毎に実施されるもので、公的年金財政の長期的な健全性をチェックするものです。
これからも5年毎にチェックされていきます。
5年後、10年後の公表結果は、今年公表された財政検証の結果よりも悪くなっているかもしれませんし、その結果により公的年金制度が大きく変わっている可能性は十分考えられます。
ですから、今回の公表結果を参考に老後資金設計を立てるのではなく、「今後も年金制度は変わっていくかもしれない。」ということを念頭に資金計画していくことが大事です。
重要なのは、まず「老後の生活にどれだけお金がかかるか」をしっかり把握すること、です。
財政検証の楽観的な経済見通し。
今回の財政検証では今後30年間の経済状況により、年金の給付水準の見通しを6つのケースに分けて考えていますが、今後30年間を次のように予想すると、日本の経済状況の見通しがかなり甘いのではないか、と思います。
まず、南海トラフ地震。マグニチュード8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は 70~80%(平成 31 年1月1日現在)とされています。南海トラフ地震が起きた場合の経済への影響まで今回の財政検証では考えていないでしょう。
さらに、地球温暖化による自然災害の多発化や食料生産への影響です。
(福岡・佐賀・長崎では、大雨特別警報が発表され大きな被害が出たばかりです。)
食糧問題も、日本はただでさえ食料自給率は低いですが、温暖化と人口の増加(日本は減少するんですが、世界の人口は増えていきます。)で食料不足は深刻化し、それによる食料品の値上げがこれからの家計を苦しめると予想します。
また、リーマンショック級の世界的な景気後退もないとは言い切れません。
そして、やはり人口減少がこれからの経済状況に大きな影響を与えます。
2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となりますし、
2040年には団塊ジュニアが65歳となっていきます。
医療や介護といった社会保障費の増加が経済や公的年金制度へ与える影響は大きいでしょう。
公的年金制度の未来と見直し
2019年度の公的年金の所得代替率は61.7%です。
(※所得代替率:現役世代の手取り収入に対する公的年金の受給額の割合)
しかし、公表された6つの年金給付水準は、一番良い数値でも51.9%(2046年度)となっています。
確実に公的年金制度は先細りしていきます。
この数字を参考にすると、老後の収入は年金だけだと現役時代の収入の約半分ということになりますので、老後にどのように生活レベル(家計支出)を下げていくか、下げるのがイヤであれば、他から収入をどのように得るか、老後資金をこれからどのように作っていくのかを早めに考えていく必要があります。
ご家族でお金の話をするご家庭は非常に少ないですが、一度将来のお金の事について、話し合ってみるのはいかがでしょうか?
それでは、また。
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ファイナンシャルプランナー(日本FP協会CFP(R)、厚労省1級FP技能士)
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