これから半年後だったら、俺はお前に負ける気はしない!でもこれから3年後なら、俺はお前に勝てる気がしない! 執筆:夏目 俊希
こんにちは!
いいトコ探しで、仕事をやりたいことに変える
「イイトコブランディングの夏目」です。
前回のお約束である
「4時間の面談でもいいトコが見つからなかった人」の
ことを今回はお伝えします。
その人は、医薬品の営業マン(MR)で、
全国に1000名以上いる内のベスト10に毎回入る
くらいの成績優秀な営業マンです。
職務経歴書を見ても、
随所に素晴らしい成果が書き込まれていました。
私は当然の興味として、
「この成果、どうやってあげたの?」
とまずは聞きました。
そこでの彼の返答は、
「いえ、特別何かをやったわけではありません
。当たり前のことをやっただけです。」
でした。
「えっ、これだけの成果をあげたのに
何もやっていないなんてないと思うけど…」
「いえ、本当に、特別何もしてません!」
こんな堂々巡りでまずは面談がスタートしていきました。
もちろん私は相談に乗ってるわけですから、私にアピールする必要はないとはいえ、今後面接に臨んだ際、「私は特に何もしていません!」と言ったのでは合格するはずもありません。
さて、では、「あなたの弱みは何ですか?」
「弱みですか、うーん、特に弱みはないと思います」
(自分のことをしっかりアピールできないのはまずもって弱みの一つだと思うけどね)
「それでも何か気になることはないの?」
「特には…。社内の人間関係も悪くないですし、ドクターもいい人ばかりですし…」
「社内の人間関係は分からないでもないけど、ドクターはいい人ばかりじゃないんじゃないの? 結構、大変なこともあったりしたんじゃないの?」
「もちろん仕事ですから厳しいことを言われたこともありましたけど、でもいい人ばかりです」
あとから思い返せば、この「いい人」がキーワードだったように思います。
でもこの仕事がきれい事ばかりじゃないのは十分にわかっていたので、改めて、
「でも辛かったり、辞めたいと思ったりしたことはなかったの?」と。
「特になかったですね」
(よし、視点を変えてみよう!)
「あなたは結果を出してるじゃない。でも同僚には結果が出せない人もいるよね。
その違いは何だと思う?」
「よく分かりません。あまり同僚とは込み入った話はしないので」
「でも、どうやったらうまくいくのかなんて聞かれたりしないの?」
「聞かれることもありましたけど、当たり前のことしかしていないので、最近は聞かれることもあまりないです」
(うーん、そう来たか。じゃ、これはどうかな)
「お客さんであるドクターからはどんな人って言われたるする?」
「聞いたことなですね。普通に当たり前にいつも会ってるだけなので」
「今度聞いてみてよ。『私ってどうですか?』って」
「分かりました。でもちょっと恥ずかしいですね。そういうこと聞いたことがないので」
この宿題を出した段階ですでに2時間以上が過ぎていました。
私の聞き方が良くないって???
確かにそうかもしれません。
聞き方によってはもっと早くに糸口が見つかったかもしれません。
でも私には、彼の「ひっかかるところ」を何とかして見つけたいという思いがありました。
もちろんそれが「いいトコ」につながるという直感のようなものがあったからですが。
さて、時間は過ぎていきます。
思い返せば、忙しい合間を縫って面談に来た彼が時間のことを一切いわなかったことは意外といえば意外でした。もしかすると、この面談に彼なりにかける思いがあったのかもしれません。
私のスケジュールも押し迫ってきました。
次の予定を考えれば、そろそろ結論めいたものが欲しいと思っていた頃でした。
ふと、予定といえば、今週末からゴールデンウィークだと。
「お子さんはいるの?」
これまでとは全く関係のないプライベートに関する質問です。
「小学生の男の子が2人」
「結構、いいお父さんだったりするの?」
「ええ、まあ」
初めてスキを見せた感じがしました。
「息子さんから、『お父さんの仕事って何?』 なんて聞かれたりしないの?」
「聞かれます」
「どう答えるの?」
「説明するんですが、うまく伝わらないですね」
「ふーん、もし息子さんから『お父さんの仕事ってすごい!自分もお父さんのような仕事がしてみたい!』って言われたらどうする?」
今日最高の笑顔と共に、
「言われたいです!!!」
これだ!
「じゃあさ、ちょうどゴールデンウィークでもあるし、息子さんに説明してみてよ、お父さんの仕事を。そして、息子さんが『やってみたい!』と言ってくれるようにお父さんの仕事の良さを伝えて!」
「ゴールデンウィーク開けたら教えてね」
「分かりました」
ここまでかかったのが正味4時間。
これまでも、そして、たぶんこれからも、これ以上かかる面談はないのではと思います。
でも最後に「分かりました」と言った後の彼の笑顔はとても晴れやかで、4時間という長丁場に意味を持たせてくれました。
さて、ゴールデンウィーク明けに彼から連絡をもらい、改めて会いました。
私の中では、期待半分、不安半分でした。
果たして、彼は宿題をやり終えてくれたのでしょうか?
「どうだった?」
「子供に説明しました。私なりにいろんな言葉を使って、説明しました」
「で?」
「何となく分かってくれたかなという感じです」
「自分もお父さんのようになりたいって言ってくれた?」
「それはないです!」
あら、そこを断定しちゃう訳。
「じゃあ、私に説明してみてよ。息子さんに伝えたように」
「はい! では…」
その後、彼が私に説明してくれた内容はお世辞にも分かりやすいとか、伝わってくるとかではなく、例えるなら、緊張して自己紹介する新卒の学生のようでした。
でも、でも、でも、これだけは伝わってきました。
「いい人」なんです、彼は。
もしかすると息子さんはとっくに彼のいいトコなんて分かっていたんじゃないでしょうか。もちろんそれは無意識にかもしれませんし、言葉では言い表せないところにあって、普段の当たり前の中で、感じ取っていたのではと思います。
「いい人」
難しいですよね。
自己PRで、「私はいい人なんです!」
これでは面接では通りません!
さて、いいトコ=いい人の彼はどうすればいいのか?
「ドクターとか、周りの人に聞いてみた、『私ってどんな人?』って?」
「はい。ドクターからは真面目だとか、誠実だとか言われました」
「他の人は?」
「実は、今まで聞いたことがなかったのですが、できる先輩に聞いてみたんです」
「そしたら?」
「そうしたら、こんな風に言われました」
「これから半年後だったら、俺はお前に負ける気はしない!でもこれから3年後なら、俺はお前に勝てる気がしない!」
「へえ、どういうことだと思う?」
「私もよく分からなかったので聞いてみたんですが、要は、私は当たり前のことを当たり前にずっと継続してやり続けられるということだそうです」
「どう思った?」
「ピンと来なかったんですが、その先輩に言わせれば、『分かってないだろ。だから当たり前にできるんだよ、そして、やり続けられるんだよ』とのことでした」
「それを聞いてどう思った?」
「正直、『そんなもんかなあ』って感じです(笑)」
「だろうね、でも、やっぱり、それがあなたのいいトコなんだろうね」
ありきたりの言葉で言えば、「継続性」とか「習慣力」なんでしょうか。
私の中では、晴れやかな思いと同時に、彼はいい転職ができると確信めいたものが芽生えました。
そして、彼はいい転職ができました!
今では新天地で、これまで通り(笑)、当たり前に、やるべきことをきちんとやって、彼にとっては当たり前のように成果を上げています。
面接ではどうだったかって?
そうです、「いい人」では面接は通りません。
でも私からは、テクニックは何も授けませんでした。
伝えたのは、当たり前に日々の活動を説明してとだけ。
「そこまで当たり前にできる人はいないよ」
面接官も分かったんですね。彼の「当たり前力」が。
今回は、特別なケース?
誰もが彼のようにはいかないと思うけど・・・。
果たしてそうでしょうか?
次回、誰もが彼のようないいトコを持っていることをお伝えしたいと思います。
ご期待ください。
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