カウンセラーが人を導くときに欠かせない視点とは? 執筆:矢場田 勲
優れたカウンセラーと
そうでないカウンセラーの違いとは何か?
一言でいうと、
視点を自由に変えられるかどうか、
だと考えています。
カウンセラーは悩みを抱えているクライアントと
同じ視点(相手視点)になって話を聴きます。
クライアントにとっては、
いままで誰にも打ち明けたことがない悩みを
カウンセラーだけに話すわけです。
目の前にいるカウンセラーは、
本当に信頼できる人なのだろうか?
自分の悩みなんて
たいしたことないと笑われやしないか?
初めてカウンセリングを受けるときには、
不安からくる警戒心が最も高まっている状態です。
まず、
クライアントがこういう心境になっていることを
しっかり把握しておくことが大切です。
それを忘れてしまって、
カウンセラー側が
「緊張する」
「上手くできるだろうか?」
「不安だ~」
と自分のことばかり気にしていたらどうでしょうか?
これは自分の視点だけで固まってしまっている状態です。
もし仮に、カウンセラーの考えていることが
クライアントに伝わったとしたら・・・
悩みを聴いてもらおうと思っていたのに
このカウンセラーは自分のことばっかりだ、
と幻滅されてしまうでしょう。
そして、
これ以上自分の話しをしたくなくなってしまいます。
だから、いったん自分視点は横に置いて
相手視点を意識して持つことが大切になります。
相手視点になっていると、
自分が緊張してようが、どう見られようが
自分のことはどうでもよくなります。
相手視点に立つことで、
深いレベルで共感できるようになります。
相手はあなたのことを信頼して、
より奥底にある痛みを表に出してきます。
深い安心感があると、
痛みが自覚できるようになり、
そこから解放されていきます。
そして、心の痛みが解放されると、
今度は、行動が必要になります。
行動せずに癒しばかりに目を向けていると、
結果的に行動ができなくなって、
ずっと心の世界をさまよい続ける危険性があります。
我々は現実世界を生きているので、
現実を変えるには、行動が欠かせません。
クライアントが楽に行動できるように
導いていくわけです。
この時に必要なのは
一つ上の視点です。
クライアントと同じ視点では
上手く導けないのです。
クライアントよりも広い視点で、
未来を照らしながら
一歩踏み出せるように
相手が気付かないくらいにそっと背中を押します。
行動すると、
どうしても感情が不安定になります。
不安定になったら、
またクライアントと同じ視点になって、
心を癒す。
すなわち安定させます。
そして、安定したら、
今度は、行動を起こす。
行動というのは、意図的に不安定にさせること。
安定と不安定の繰り返しで、
徐々に行動の幅が広がり、
クライアントはどんどん自由になっていきます。
このように
クライアントの状況に応じて
視点を自由に入れ替えることが大切です。
今、自分はどの視点にいるか意識すると、
自由に視点を切り替えられるようになりますよ!
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